「今年も作ったものを送るので製本にして」と田舎の母から電話が来ました。ここ最近毎年のように母は短歌を作って楽しんでいましたが、それを製本(と言っても、簡単なファイルにするだけ)にしてやると更に拍車がかかり、老人施設の文化祭に出展し「評判が良かった」とのことで随分と機嫌を良くしていました。大正14年生まれの97歳、すこぶる元気です。最近はメールのやり取りが少し億劫になって来たようですが、短歌の方はますます勢いづいているようです。日常の何気ないことや他愛もないことを書き記すだけなのですが、彼女にとっては今や生き甲斐のようになっていて、息子としても嬉しい限りです。農家の三男は高校卒業と同時に故郷を離れ、以来親と暮らすことはなく、これと言った親孝行などもした記憶がないのでせめて親が願うことであればと思いつつ、パソコンに向かっています。打ち込みながら母親の純粋さに心が洗われ童心に帰る気持ちになって来ます。あとどれくらい生きられるか分からない彼女の人生ですが、こんな形で残せるものがあるということが本当に有難いことです。