秋の稲刈りが終わる頃お袋さんが栽培している食用菊の花を摘んできて縁側で花びらを捥ぎ取る作業を幼いころから手伝っていました。その菊の花が田舎からたくさん送られて来ました。妻が花びらを捥ぎ取っている姿を見ながら、幼き頃小さい手に染み込んだ菊の花の匂いを思い起こし、遠い昔を懐かしく偲んでいました。ある時知人から「えっ!菊の花って食べられるの?」と聞かれて逆に驚いたことがあります。地方によっては全く食べない所もあるようで、いやむしろ食べる方が少ないのかも知れませんが。先ほども大手通販会社の担当の方と話していて「日本にはまだまだ沢山美味しいものがありますよ。北には北の美味しいものが、南には南の美味しいものが。そんな日本中の美味しいものを探し当てて全国の皆さんに紹介したいと思っているんですよ」と聞きながら素晴らしいお話だと思いました。果たして故郷の食用菊はそんな流れには乗ることはないでしょうが、美味しいものはその地の独特な雰囲気を思い起こさせてくれます。今晩は妻が作る故郷の味「菊のお浸し」で、96歳でも元気な母を懐かしんでみようと思います。